家主て。検索エンジンに「家主とは」「家主 オススメ」とアホな借主みたいな入力する身にもなれ。
家主とは
東京都を拠点に活動するロックバンド。メンバーは田中ヤコブ(Vo, G)、谷江俊岳(Vo, G)、田中悠平(Vo, B)、岡本成央(Dr, Cho)。なんとフロントマン三人全員がボーカルを担当する。

インタビューにもある通り、ソングライターが三人もいるからロック・パワーポップ・ガレージ・グランジ・シティポップ……と楽曲ごとに結構がっつり音楽性が変わる。それでいて全曲”家主性”としか言えないような一本筋を帯びていて、これはやはりセンターの田中ヤコブ氏の編曲力にあるのかなと。
家主の曲はいつでも君の味方なのにさ/どうしてこう伝わらないの?/どうしてこう伝わらないのさ?
『家主のテーマ』歌詞より
サラッとこんな歌詞があっちゃうが、楽曲が素晴らしすぎてあっけなく説得力を帯びる。上のインタビュー記事にもある通り本人らも曲の良さを自覚しているようで、こんだけ良かったらそりゃそうだろと思うのだが、そのスタンスが僕は嬉しくて。自分で作ろうが他人のだろうが良いものは良いと見抜ける審美眼と、発信できる矜持があるということだから。これは僕のエゴかもしれないけれど、何かを創作する人は常にそうあってほしいという思いがある。「よくわからんけど酒飲んで寝たらできちゃいましたw」みたいな態度は、もうあまり惹かれない。とことん自覚的である人に惚れていたい。
ただただ、「バンド」
なんですよ。ドラムがビートを刻んで、ベースがグルーヴを生んで、ギターが装飾して、ボーカルが伝える。本当に、あきれるくらいただバンド。
サウンドだけでわかるこの全能感。学校をサボって反対の電車に乗って見に行く海とか、会社を辞めた日に見上げる青空とか、そういう類の得も言われぬ感覚がある。翼もないのに無敵感に包まれているというか。
スピッツの持つ揺るぎない普遍性、くるりに感じるじんわりとした憧憬に似たものを感じられる稀有なバンドだと思う。間違いなくレジェンド級のアーティストと比肩するポテンシャルがある。こういう音楽こそ日の目を浴びて大きなうねりとなってほしい一方で、自分だけが知っていたいという独占欲もまだ全然ある。でもそれも今だけなんだろうな。彼らが所属するレーベル『NEWFOLK』の他のアーティストも素晴らしい人たちばかりです。
何一つ問題は解決していないけれど、ただそばにあってほしい音楽。絶対に損はさせないので、聴いてみてほしい。ディスコグラフィ全部聴いてほしいけれど、まずは1st『生活の礎』がオススメ。入門向きでありつつ魅力が詰まりまくってて本当に良いです。ここまで読んでもらってあまり良さが伝わっていなかったら僕のせいです。家主が良いのは間違いないから。早く見つけて!
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