w.o.d.がメジャー1stアルバム『あい』をリリース!めでたい!なのでレビューします!シンプル!
曲目リスト
- My Generation
- STARS
- ネックレス
- 喜劇
- あばく
- Take It Easy
- 陽炎
- 2024
- あなたの犬になる
- エンドレス・リピート
イントロダクション
w.o.d.はかねてから大好きで個人的に再注目バンドの一つだと思っていて、ライブにも何度も足を運んでいる。今作はメジャー1stアルバムという建付けだが、実は昨年にメジャーデビュー済みで、ライブの会場も順当にキャパが大きくなっている。嬉しい限りである。『STARS』がBLEACHの新作アニメのOPに抜擢されたときはもう大騒ぎでしたからね(当社比)。正統にかっこいいバンドが正当に評価されるのはいつだって嬉しいものよ。
しかもリリースペースがかなりコンスタントで、これもいちファンとしてとても嬉しい。毎回芯が通った爆音のグランジ・ロックをぶっ放しつつ新機軸も取り入れる柔軟さも持ち合わせていて、バンドにおいて一番難しいであろう「変わり続けるかっこよさ」を突き詰め続けている。
というわけで全曲レビューいきます!
全曲レビュー
My Generation
中野雅之(THE SPELLBOUND/BOOM BOOM SATELLITES)をプロデューサーに迎えて制作された楽曲。シングルリリース前は「合うのか……?」と思ったけど杞憂も杞憂、しっかりw.o.d.流のプリミティブなグランジとデジロックが融合したスーパーカッコヨアンセムに仕上がっていた。これでオープニングを飾るアルバムやべ~~。
STARS
BLEACHの主題歌は流石にヤバくない?
ネックレス
前二曲と一変してミディアムナンバー。サビのメロディがめちゃくちゃJPOP然としている。この辺りで今作のタイトルが「あい」である理由が匂わされている気がした。作詞はいしわたり淳治と共作で行ったらしい。
喜劇
先行シングル。ダウナーで薄暗い諦観が匂う、意外とw.o.d.では珍しいタイプの曲。米津玄師の新譜のレビューでも書いたけど、この年代で歌われる「どうでもよさ・しょうもなさ」みたいなものは、自分も同年代というのもあって刺さりがち。クソみたいな世界と、”それでも”性に弱い。
あばく
こちらも先行シングル。攻撃的なロックナンバー。随所にチバユウスケリスペクトを感じる。ライブもかっこいいだろうなこれ。
Take It Easy
今作で最も新機軸だと感じた楽曲。軽快なパワーポップ風味のメロディに超グランジ系なサウンドという組み合わせが妙にハマった逸品。MV楽しそうだな、最高だな。
陽炎
こちらも先行シングル。開放感のあるサビ始まりで全体的に開けたイメージがあり、メロディに邦ロックの文脈も感じられる。いいMVだ。
2024
『1994』を歌ったw.o.d.が奏でる30年後の現在地。光が差すようなイントロに、彼らの敬愛するBUMP OF CHICKENへのオマージュを感じる。特にCOSMONAUT期。あいだなぁ。
あなたの犬になる
タイトルはザ・ストゥージズの『I Wanna Be Your Dog』のオマージュかな?
内省的で切ないサウンドで歌う愛も似合うんかい!あんたらは!普段爆音で攻撃的な音をかましてる奴らがしっとりとした愛を綴るギャップの破壊力。あいだなぁ。サイトウ犬よ、とりあえず散歩行こか。
エンドレス・リピート
最後にこれを持ってくるのズルすぎるよ。一曲目よりさらにサイケで轟音のデジロックで、またまた編曲に中野雅之を迎えつつ、作詞は小林祐介(The Novembers/THE SPELLBOUND)との共作。こんなん聴かされたら全身の細胞が煮えたぎって一曲目からまたリピートですわ。
名盤が約束される年代
ロックのアルバムって、30歳くらいに作られた作品が名盤になりやすいと思うんですよ。演奏レベルが上がり歌詞やサウンドにも深みが出てきて、勢いや熱量でカバーしていた部分が削ぎ落され、徐々に本質的な中心部が露になるから。27クラブを超えた先に煌めきがあるのかもしれない。
そういう意味でも、今作はこれまでのアルバムと明確に異なる空気感を放っている。メジャー1stアルバムという点を抜きにしても、明らかに外へ向けて開けた印象があるのだ。”君を見つめるあい”を歌う歌詞はもちろん音作りにも新たな視点を取り入れているし、なによりメンバーの笑顔が増えている気がした。
やることをやることでしか
米津玄師の新譜のレビューにも書いたけれど、やはりこの年齢になると「世界はクソ、それでもやっていくしかない」という感覚がやんわりと共通しているような気がする。人生はやることをやることでしかない、たまに落ちて、また上って……みたいな。それは厭世的な諦念でもなければ、闇雲な熱血でもない。ただそこに在るものを己の目でしっかりと見つめるということ。情報量の多いカオスな時代でこそ、シンプルで普遍的なその姿勢を忘れずにいたいという思いが、音楽性にまで表れているのではないかと感じた。
流されるにはあまりに速すぎる濁流を生きる身として、自分にとって何があいなのか、考え続けたいと思った。
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