―きっとこの夏はぜんぶThe Otalsのもの―”To The (Blue) Moon And Back”ライブレポ

live report
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三年。

オタルズが活動を始めた2021年から初ライブを敢行するまで、三年が経った。新生児が喋り、走って、反抗期を迎えるまでの年月を、僕たちは待っていた。存在を認識したのがコロナ禍真っ盛りだったから実際に会えるまで少し時間はかかったけれど、ライブで見るオタルズはまさに僕たちが期待していた通りのオタルズだった。

2024年8月4日に下北沢ERAにて開催された、The Otalsの初ライブ”To The (Blue) Moon And Back”に参戦してきた。初ライブにしてキャパ200人クラスの会場でワンマンだとか、数日でソールドだとか、カートゥーンバンドがどうライブをするのかとか、いろいろと気がかりな点が多かったけれど、蓋を開けてみるととても素晴らしかったのでライブレポを残しておきたい。

ずっと会いたかった

開演時間を数分過ぎてなお「できるだけ前に詰めてください!」とアナウンスがあり、初ライブを目撃しようと多くの人が押し寄せたことが伺えた。そして、ほとんどの人が入りきったあたりで開演前SEの音量が上がり、照明が暗転する。何度ライブに足を運んでも、この瞬間は心拍数が上がってしまうね。

ロックンロールなSEとともにサポートメンバー(おそらく梨炭酸のメンバーですよね!?こちらもとても良いバンドです)がまず入場し、後にJune FAXxxxxx(ジューン・ファックス)とMarina Timer(マリーナ・タイマー)の二人が登場する。カートゥーンのキャラデザが現実に出てきたようなルックスで、二人とも衣装までとてもかわいい。

どんな曲で始まるんだ……!とワクワクしながら待っていると、初っ端から『スウィートリヴェンジは悪魔でも』のイントロが始まり、高揚感は早くも最高潮に。

音源の瑞々しいポップネスと青さはそのままに、生演奏のヒリつきがプラスされ、「俺はいま、オタルズのライブに来ているのだ!」と否が応でも感じ一曲目からゾクゾクする……!ラスサビでは「ずっと会いたかったよ」でジューンがこちらを指刺す。そうだよ、そうなんだよ……!!

オールタイムベスト

この後もこれまでリリースされた楽曲たちが立て続けに演奏されるわけだけど、初ライブにしてオールタイムベストみたいなセットリストだし、そもそもシンプルにどの曲も強すぎる。初めてライブで披露されるとは到底思えないクオリティ。

ライブ終盤では、ジューンから「ずっと言いたかった言葉があるので一言だけお時間ください。『私たちがオタルズです!』」という一言が放たれる。もう、これがすべてだよなと思った。

あっという間に本編が終了し、鳴りやまないアンコール待ちの拍手の中再び登場するメンバー。観客の一人が「待ってたぞー!」と煽ると、「三年待ったんだから30秒くらい待ってよ(笑)」と返すジューン。その通りです。

アンコール一曲目は『2020年の初夏のこと』。

コロナ禍での率直な想いを赤裸々に歌った曲が、2024年のいま、東京で聴けることの大きな意義よ。

この数年間はたくさんの人たちがたくさんのことを失ってきたのだと思う。大切な人との約束だとか、一生に一度の出会いから何気ないすれ違いに至るまで、多くの大事な/くだらないことから文字通り距離を取ってきた。オタルズのメンバーも、いまライブを見ているリスナーも、これを読んでいるあなたも、僕も。そうしたやりきれなさをひとつずつゆっくりと供養していく気持ちになり、イントロだけで涙ぐんでしまった。でも液晶を眺める日々があったからこそオタルズと出会うことができたし、こうしていまたくさんの人が集まることもできた。

集まったリスナーたちに感謝を伝え、「初めて作った曲をやって帰ります」と言い演奏されたのは、1stアルバム一曲目に据えられた、どっしりしたベースが支えるスローテンポな『ナナマルサンバツ』。これが初めての曲だなんて、やっぱり完成度おかしいよ。この曲も大好きだから、最後の最後に聴けて嬉しかったな。

オタルズのこれから

これからどんどん人気を増していくバンドの伝説の初ライブにも思えるし、ずっと活動してきたバンドのいつも通りのライブにも思える、不思議な一夜だった。ただ間違いなく言えるのは、今後も僕たちはオタルズを聴き続けるのだろうということ。

そして、一ファンとしてはまたライブやってほしい!焼きついたままの鮮やかさをまた見せてください。

公式Xより

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