荒廃した世界で、君と僕だけでPeople In The Boxを聴いていたい

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今回ご紹介いたしますのは、かれこれ15年くらい愛するバンドPeople In The Boxについてです。拙い日本語を振り回してでも伝えたい、本当に魅力溢れるバンド。

People In The Boxは2003年に福岡県北九州市で結成された、3人組ロックバンド。ジャンルで言うとマスロックとかドリームポップとかオルタナティブってやつですかね。残響系と括られていた記憶もある。

イントロから何拍子なんだよ。「よし、MV作ろう!」つってナチュラルに変拍子の曲を選ぶの怖すぎる。

日本語の美しさ

このバンドの魅力でまず特筆すべきはその歌詞だ。「歌詞が凄いバンド紹介します!」みたいなネット記事で結構な確率で見かける印象がある。

『完璧な庭』より

生きていることを「毎日少し死んでいく」と表現するの、凄くないですか?

ピープルの楽曲はどれも哲学的かつ高次的で、結局のところ何について歌っているのか明確な答えが出せないものが多く、色恋沙汰だったり応援歌みたいな生活感は一切そこに存在しない。

けれど、人によっては一聴して虜になる良さが詰まっている。

『怖さ』と『美しさ』は両立するものだと常々考えてて、彼らの曲はまさにその筆頭だと思う。真夜中の森、洞窟、廃墟、炎、深海、どの絵具の黒よりも黒い宇宙、巨大な仏像、水木しげるの妖怪、ゴヤの絵、成績通知に並ぶ『不可』……そしてPITBの歌詞。

『月曜日/無菌室』より
『ニムロッド』より

ぞっとするような歌詞を、不釣り合いなほどの小気味良いメロディで、少年のような無垢な声で歌い上げる。一度聴くだけで、それこそ荘厳な美術館で絵画を見たような感想を抱かせる。

曲名もどことなくシュルレアリスムっぽいものが多い。

・見えない警察のための
・あなたのなかの忘れた海
・懐胎した犬のブルース
・どこでもないところ
・風景を一瞬で変える方法
・ぼくは正気
・冷血と作法

などなど

人によっては「なんだこれは」と惹き付けられるものばかり。

音楽性

一般的にバンドは構成人数が減るほど音楽性が尖る傾向にあって、彼らも例に漏れない。歌詞だけではなく楽曲も、クリーンなビジュアルからは想像つかないくらい変態的だ。

ギターボーカルってコードをジャカジャカ弾きながら歌うのがオーソドックスなスタイルだけど、Vo.波多野はゴリゴリのアルペジオを弾きながら全く別のメロディーラインを歌うことも多い。右手で知恵の輪解きながら左手でナンプレしているようなもん。こんなにバンドカラーのシャツが似合う人がやるエグさじゃないのよ。ベースとドラムも大概だ。どう合わせてんだよって音源のキメをライブでもばっちり演奏しきっている。僕の周りのバンド経験者がこぞって「PITBは凄い」と言っていたけど、まさにこういうところなんだろう。

そして、哲学的な歌詞と変態的な演奏とは裏腹に、ライブでの立ち振る舞いはどこか清楚。穏やかな声で「それでは、聴いてください……」とか言っちゃう。好きになっちゃうんだろそんなん。もっと売れろ。

たぶん、死ぬまで好き

昨今のフェスブームに乗っかりやすい音楽性ではないかもしれない。万人受けする歌詞でもないかもしれない。

でも長く聴かれる音楽って結局、安売りで消費されるような商品性全振りの音楽より、想いと性癖の詰まったこういうものなのかと思う。「数年前に聴いてた曲久々に聴いてみるか~」と再生した曲、大抵良いままだよね。僕も死に間際に聴きたいプレイリストに彼らの曲絶対入れるもん。

いつか世界が滅亡するときには、あまりにも美しすぎるPeople In The Boxを聴きながら終末を眺めていたい。

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