『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』というアニメをご存知でしょうか。

銀河道路交通法違反で逮捕された強化人間のチハルとサイボーグのマキナ。
-『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』公式サイトより-
同じタイミングで警察に捕まった、強化人間のアカネとカナタ、
サイボーグのカートとマックスらクセのあるコンビを集め、
警察官・リョーコが全員に課したのは、奉仕活動として惑星間走行列車・
通称”ミルキー☆サブウェイ”の清掃をすること。
簡単な任務だったはずが、突如暴走し始める”ミルキー☆サブウェイ”!
車内で慌てふためくメンバーたちは、
やがて大事件に巻き込まれていってしまう!
意図なし、主義なし、主張なし!
ノリで乗り切る前代未聞の
スペーストレインスペクタクル!!
一話あたり三分ほどのショートアニメで、近未来を舞台にした様々なキャラが織りなすスラップスティックだ。YouTubeでも公開されているので、ちょっと一旦見てみませんか。
快とベタ
快
かい【快】[漢字項目]
『コトバンク』より引用
[音]カイ(クヮイ)(漢) ケ(呉) [訓]こころよい
[学習漢字]5年
1 気持ちがよい。胸のすくような感じ。「快活・快感・快勝・快晴・快楽かいらく・快楽けらく/欣快きんかい・豪快・爽快そうかい・痛快・不快・明快・愉快」
2 病気がよくなる。「快復・快方・快癒/全快」
3 はやい。「快走・快足・快速」
4 すばらしい。「快漢・快記録・快男児」
快をネット辞書で引いてみると上記のような語義が出てきた。まさにこのアニメを総括するようなものたちだ。気持ちがよくてはやくてすばらしい。
3分に凝縮されたハイペースな展開と怒涛の伏線回収がかなり心地よく、その伏線自体も物語の根幹を揺るがすほどでもないので、「快!」という感覚に包まれる。というかそもそも物語の根幹が、逮捕者の更生プログラムにおけるドタバタという、そこまでシリアスすぎない塩梅なのも絶妙だ。もっとハードなSF的世界観であれば、ここから紛争に巻き込まれたり誰かが死亡したりという展開も定石だけど、そういった軽々しい重々しさがない。
会話の「快」さもある。個性的なキャラクターそれぞれの会話における言葉遣いやアクセントには、居酒屋とかカフェで話してる10~20代くらいのリアルさがあり、いい意味でアニメアニメしていない。そしてみんなかわいい。
ベタ
イメソンはゴリゴリの80sリバイバルのシティポップ。2025年における80sポップって、もはや”オシャレ”という記号性のみが担保されているという印象なのだけど、その「ベタ」をやり切っているのも凄い。
第7話の音ハメ戦闘シーンもだ。非常にベタだけど浮ついたベタさではなく、ホント絶妙。「これおもろいやろ!?」的ないやらしさがなく、サラッとしている。
ベタとはいえヘンテコなアンマッチさもある。近未来と昭和歌謡とか、高速で暴走している特急列車に幽閉されているのに妙に落ち着いた会話劇とか、最終話で結局車両を全壊させるという、それまでの舞台を根本から覆すデウス・エクス・マキナ(しかも主人公の一人が「マキナ」で、列車のOSが「DEUS 10」という細部までのこだわりっぷり)により破天荒なエンディングを迎えるというのに、おとなしく署に戻って取り調べを受けるくだりとか。いちいちかわいいんだよな。
どうなっても知らんぞ
亀山陽平監督は今後間違いなく国内最重要クリエイターの一人になると思う。アニメフォーマットとしてのイノベーターにもなり得るし、そもそもこの作品をほとんど一人で手掛けたという時点でかなり要チェックだと思います。
何度も書くが1話あたりたったの3分。全話観ても40分ないくらいだ。40分ですよ。家に帰ってベッドでダラダラとショート動画を見る手を止めて、こっちを観ませんか?おもしろさは保証するので、つまらなかったらDMしてください。いや、DMする暇があったら2周目に入ってください、よろしくお願いします。



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