【米津玄師はどこへ向かうのか⇒頂点でした】『LOST CORNER』レビュー 接触篇

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先日、米津玄師の四年ぶりのフルアルバム『LOST CORNER』がリリースされた。これは事件ですよ。

曲目リスト

  1. RED OUT (Spotify ブランドCMソング)
  2. KICK BACK (TVアニメ「チェンソーマン」オープニング・テーマ)
  3. マルゲリータ + アイナ・ジ・エンド
  4. POP SONG (PlayStation(R) CMソング)
  5. 死神
  6. 毎日 (日本コカ・コーラ「ジョージア」CMソング)
  7. LADY (日本コカ・コーラ「ジョージア」CMソング)
  8. ゆめうつつ (日本テレビ系「news zero」テーマ曲)
  9. さよーならまたいつか! (NHK連続テレビ小説「虎に翼」主題歌)
  10. とまれみよ
  11. LENS FLARE
  12. 月を見ていた (「FINAL FANTASY XVI 」テーマソング)
  13. M八七 (映画「シン・ウルトラマン」主題歌)
  14. Pale Blue (TBS系 金曜ドラマ「リコカツ」主題歌)
  15. がらくた (映画「ラストマイル」主題歌)
  16. YELLOW GHOST
  17. POST HUMAN
  18. 地球儀 (スタジオジブリ「君たちはどう生きるか」主題歌)
  19. LOST CORNER
  20. おはよう

集大成

発売前から各所で話題になっていた今作は、なんと20曲収録という大ボリューム!見ての通り、ここ数年のリリースは走馬灯にガンガン出てくるレベルモンスタータイアップが続く一方で、シングルリリースが貯まっていたのでどういった構成にするのか気がかりだった。

結果的に、新曲を9曲も追加し大作アルバムにするという半ば力業なソリューションとなったわけだが、一度通しで聴くだけでわかる。これ、尋常じゃないですよ。全曲レビューの前にまずそこを確認しておきたい。

一曲ずつのクオリティがヤバすぎ

まず言わずもがなこれ。米津なんてどの曲もええやんなんて声が聞こえてきそうだが、正直最近の彼はもうそういうフェイズではないというか、何度も書いているけど完全にゾーンに入っていると思うんですよ。追加された新曲たちも間違いなく一曲残らずシングルカットできるクオリティ。「捨て曲がない」どころの話じゃない。ちょっと異常なレベルで怖いくらいだ。

アルバムとしての統一性

化け物みたいなクオリティを持つその一曲一曲がピタッとはまるアルバムとしての構成もヤバすぎる。まずタイアップ曲たちはそのタイアップ先の幅の広さから様々なジャンルを横断しているわけですよ。それをただ一枚に束ねて収録するだけだとゴチャつくに決まっているわけで。数年分のワークスに一本筋を通すのがどれほど難しいことか、やったこともないのに想像しただけで眩暈がしそう。

そこで、それを可能にしたのが新曲たちだ。彼らもたくさんの顔を見せるが、アルバムとして聴くと不思議とこれ以外はあり得ないなと思わせるほどの統一性がある。これ本当にとんでもないことですよ。考えてもみてくださいよ。四、五年前の自分の写真を集めて、今自撮りした写真に混ぜて違和感のないスライドショーを作るようなもんですよ。そんなのストーリーズに載せたらフォロワーからDMが止まりませんよ(?)。

全曲レビュー(前篇)

というわけで早速全曲感想を書き連ねていきたい。

RED OUT

先行配信されていた新曲。オープニングからバチバチや。かなりシリアスかつ陰鬱な歌詞(創作論や産みの苦しみを歌っていると思われる)で、これで始まるのアリなんですか…?とやや心配になる。再生ボタンを押して40秒で「消えろ」連呼されるのなかなか辛いよ、よねちゃん。MVも凄い。ジョーダン・ピールのホラーみたい。

KICK BACK

リリース当初から「解釈の悪魔」と言わせしめたチェンソーマンのOP。King Gnuが今ほどの人気になる前から交流があっただけに、米津+常田の親和性は揺るがないものがありますね。「キックバック」ってチェーンソーの反動を指す用語らしいが、チェンソーマン原作者:藤本タツキの短編漫画『ルックバック』とも掛かっていると思われる。これ以上ないタイトルだ。あと筋トレ種目にも「キックバック」というメニューがあるけど、MVではやってないのがおもしろすぎる。

マルゲリータ + アイナ・ジ・エンド

曲目発表時にに驚いた、まさかのアイナ・ジ・エンドとのコラボ。ハスキーな歌声が特徴的な彼女にあえてクールな曲を歌ってもらうところにある種のフェティシズムを感じた。裏拍で入るアウトロの「xoxo」がなぜか気持ちいい。

POP SONG

これに『POP SONG』ってタイトル付けるのヤバすぎません?まあでも「誰でもいいけど君がいいんだよ」をラストに持ってくるのはれっきとしたポップソングか。

死神

まさかの「くだらねぇ」受け。肩の力を抜きつつしっかり捻くれた曲で、カップリングながら結構早い段階でMVが公開されていた記憶がある。

毎日

シングルリリースの時からとても好きだった曲。缶コーヒーのタイアップに日々のつまらなさ・倦怠についての楽曲を持ってくる角度が最高。あなたの「クソボケナス」で、救われる命があります。

LADY

まさかのジョージア受け。このアルバム、随所で同人誌的意味でのカップリングができそうだな。ライブ映像でも思ったけどよねちゃんってセンターパートとジャンプスーツが似合いますね。サビの譜割りが面白い。

ゆめうつつ

「死神」と同じく、「Pale Blue」のカップリング。これも当初からかなり好き。夢遊感のあるイントロが、これまた好きなカップリング曲「ゆめくいしょうじょ」を彷彿させるから。そういえばどっちも”ゆめ”じゃん!ガハハ!

さよーならまたいつか!

この曲のリリースあたりから本格的によねちゃん、いや、米津さんのことが怖くなってきた気がする。完全にゾーン入ってるもん。これまでも良かったけどそれどころじゃない。まずMVでギャルピースするような人じゃなかったじゃん!そんな子に育てた覚えはありません!!夕飯までには帰って来なさいよ!!!

とまれみよ

新曲。イントロの不穏な踏切に”エヴァみ”を感じたのだけど、この印象はあながち間違いではないだろうというのが後々になってわかる。詳しくは後述。サビの怒涛の押韻からの背筋にゾクッと来る半笑いな歌い方がたまらん。

LENS FLARE

逆再生のようなイントロで始まる、今敏監督の「パーフェクトブルー」から着想を得たらしい楽曲。ラスサビの「ずっと笑顔で生きたい キレたい 愛されたい」の乱高下に不謹慎ながら笑ってしまう。正直めちゃくちゃわかる。

月を見ていた

「愛してる」を「月が綺麗ですね」と訳した夏目漱石(諸説アリ)と、「月を見ているわたしの隣にあなたが現れた」米津。FFのタイアップて……。日本のコンテンツ全部モノにする気か……?と思っていたのも束の間、この認識すら甘いことを、後に知ることになる。

後編へ続く…

しこたま書いた気がするけどこれでもまだ半分ちょいだった。というわけで、残りは後篇で書いていきたいと思います!では~!

後編はこちら

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