映画『奇跡』レビュー|子どもたちの小さな旅と、“起きなかった奇跡”の美しさ

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2011年に公開された、是枝監督による映画『奇跡』。元々主題歌と劇伴を手掛けるくるりのファンだったので気になってはいたのだけど、ようやく鑑賞したので感じたことを綴っていきます。

あらすじ

公式サイトより

想いを乗せて走る新幹線

両親の離婚により鹿児島県と福岡県で離ればなれに暮らす小6の兄(まえだ)と小4の弟(まえだ)。また家族全員で暮らしたいと願う2人は、九州新幹線が開業する日の朝、鹿児島から福岡に向かう新幹線「つばめ」と福岡から鹿児島に向かう「さくら」が初めてすれ違ったときに”奇跡”が起きて、願い事が叶うという噂を耳にする。

本作は2011年3月の九州新幹線の全線開通を機に、JR九州とジェイアール東日本企画の企画により製作された映画とのこと。というのもあって、終盤では新幹線がマクガフィンとして機能する。人の想いが音の速さとなって交わるということの温かさにグッとくる。

子どもたち

2人はお互いの友人たちを連れて新幹線の合流地点の近くで落ち合うことにする。子どもたちだけのちょっとした冒険ということで、資金調達や乗り換え選定などを入念に準備する姿が微笑ましい。それで再会した瞬間はやけにあっさりしてるのもまた微笑ましい。

是枝監督の目で世界を見てみたいと思う。氏の描く子供たちは瑞々しくて生命力があり、素直で、どっしりとしていて美しい。子供って不必要なところで走り出すよな〜。

奇跡なんか起きなくても

結論から言うと、“奇跡”は起きない。でも、このタイトルで奇跡が起きないところが大事なのだと思う。

奇跡が起きないということ、しばらくはこのままの暮らしが続くだろうというままならなさは決して絶望的なものではなく、降り注ぐ灰の中に煌めく一粒の輝きなのである、というメッセージを感じた。

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