
東京都・江古田を拠点に活動する4人組バンド「時速36km」。2016年より活動を開始し、今年で10年目を迎える彼らは、メンバーチェンジや休止期間を経ることなく、今日に至るまで精力的に活動している。
なかなかユニークでパンチの効いたバンド名だが、他の案は「強いマン」とか「弱いマン」とかだったらしい。本当に良かった。
BUMP直系且つ進化系
初めて何曲か聴いたときに受けたのは、「BUMP OF CHICKENに脳を焼かれた少年が組んだバンド」という印象だった。ほとんど全曲半音下げチューニングだし、BUMP同様メロディに対する歌詞の譜割りの情報量がかなり多い(=歌詞の文字数が多い)。使ってるギターも藤原基央と同じレスポールスペシャルだし。藤原基央と同じくMCで結構噛むし。
加えてサウンド面では、正しく邦ロックの進化系といえる。疾走感溢れる曲もあればしっとりと聴かせるタイプの曲もあり、エモーショナルなギターソロも多い。
こういうギターソロのかっこよさは邦ロックシーンにおいて結局のところ最重要だと思っていて、「邦ロック」と聞いて想像する通りド真ん中の音楽性といっていいはずだ。ハードロックがルーツと語るGt.石井開氏はギターがうんますぎる。
どうしようもなさ
そんな楽曲たちで歌われるのは、どうしようもない生活についてとか、人生において立ちはだかり続ける壁について。
代表曲『ハロー』の大サビなんて、歯医者を昼に予約しちゃった話してるもんな。キラーチューンにしてはあまりに地に足がつきすぎだ。
話は脱線するけど、一昨年くらいからギタースクールに通っていて、課題曲が時速の『素晴らしい日々』だったことがあり、彼らがどういうバンドか先生に説明したんですよ。
「メンバーはアラサーくらいで、社会人兼業のメンバーもいるそうです」と説明すると、「それってめちゃくちゃ楽しいだろうね!」と言われた。
僕はこの言葉にかなりハッとしたんですよね。
先述した通り、時速は普段から”エモい”で消費されない”マジの生活”とか、どうしようもないやるせなさとか、本当にクソみたいなままならなさについて歌っているバンドだ。そしてそれこそが、そのマジさこそが魅力なのだが、30歳を越えたメンバーが4人で集まってスタジオに入ったり、ライブをしたりという日々はそもそも楽しくて仕方がないであろうという事実ももちろんあるわけで。「好きじゃなきゃやってねえよ」っていう。

そういう「当たり前のことに気づくことすらも彼らは歌っているのでは?」と思い、より愛おしくなったというエピソードでした。
祝・メジャーデビュー!
そんな彼らが、活動10年目にして遂にメジャーデビューを発表した。
そして、アニメ『ワンピース』の主題歌に抜擢。なんと作者:尾田栄一郎先生自身も、かねてから彼らの楽曲をよく聴いていたらしい。教わらなかった道を注意深く進んできたバンドが、名実ともに王道である少年漫画とクロスオーバーする。
小細工もハッタリもないが故に、近道のない道程だったのだ。
ここからは
もうZeppでワンマンライブを行ったり、メジャーデビューを果たしたりと間違いなく邁進中とはいえ、彼らの音楽を必要としている人はまだまだ大勢いるはずだ。もっともっと誰かのスーパースターになるだろうと、ライブを観る度に思う。
音楽の在り方も聴き方も多様化した現代において”メジャーデビュー”が魔法の言葉ではないことはもはや不文律だが、だからこそ真っ直ぐな音楽を歌い続けてほしいと勝手ながら思う。「メジャーバンド時速36kmの夜明け」を見つめられることが、楽しみでなりません。
さぁここからは
『ゴースト』/時速36km 歌詞より
すべて僕らのもの
さぁここからは
そんな僕らが歌う



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