【ネタバレあり】不条理な世界で闘うなんかかわいいやつら|『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』

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2026年7月24日に劇場公開された『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』を観た。

言わずと知れた大人気漫画を原作としたアニメの劇場版。原作の中でも人気の高い長編エピソード「セイレーン編」を映像化したものとなっている。

あらすじ

ある日、ちいかわとハチワレが広場でくつろいでいると、突如として顔にチラシを貼り付けたうさぎがやって来る。
ハチワレがそのチラシを確認すると、それは「特別な島へご招待」と書かれた招待状であった。
チラシに記載された魅力的な言葉に釣られ、島合宿に行くことを決めたちいかわたち。
チラシの内容を怪しがるラッコとともに乗船し、島に上陸したちいかわ一同は島民から大歓迎で迎えられる。
楽しい時間を過ごしていたちいかわたちだが、
島に住む巨大な“セイレーン”が島民を次々と連れ去っているという事実を聞かされ、
セイレーンの討伐計画に巻き込まれていく。
ひたむきに進むちいかわたちに次々と訪れる試練。みんなで乗り越えられるのか…!?
そして島に隠された本当の“ひみつ”とは…!?。

公式サイトより

第一印象

なんかこういう映画だった。本当なんです。信じてください。

『ちいかわ』については、「言葉がたどたどしいフロントマンの傍に、めちゃくちゃ喋れる奴と全く喋れない奴がいるというMAN WITH A MISSIONみたいな編成をしたパーティー」というくらいしか知らない。また、甲殻類アレルギーの僕に「アレルギーは好き嫌いだろ」と言い放ち、会社の金を横領していた前職の元上司がちいかわのLINEスタンプを使っていたので、なんなら半分警戒しているコンテンツだった。つまり、私情もありつつほとんど「ミリしら」状態である。

器のデカさ

結論から言うと、とんでもない映画だと思ったし、改めて凄いコンテンツだと感じた。

原作であるTwitter漫画、書籍、TVアニメ、ぬいぐるみやフィギュアなどのグッズとあらゆる展開がされているメディアミックス作品にして、それぞれが全く異なるファンダムを獲得しているからだ。子どもから大人、会社員に主婦層、インターネットのオタクに海外ファンなど、”全ての人”にリーチしているのが凄い。ナガノ氏凄い。

映画化の意義

鑑賞後に読んだ原作とほとんど同じ展開だったが、漫画の持つほのぼのさと不穏さのバランスを損なうことなく、かわいらしいところはよりかわいらしく、不穏なパートはより怖ろしく描写されている。

特に、激辛カレーを喰らったセイレーンの苦悶の悲鳴や、回想シーンでの人魚への打撃音など、鑑賞した子供たちのトラウマになるかならないかのギリギリを攻めているところに、大人の自分もドキドキした。オーディエンスを信頼しきっているがゆえの演出といえるのではないだろうか。

闘いとしての生活

仲間の命を救うためとはいえ、人魚の肉を食って島を出ざるを得なくなるヒトハとフタバの姿には、旧約聖書の失楽園におけるアダムとイヴをどうしたって重ねてしまう。が、安易なオマージュでも単なる露悪でもない絶妙なバランス感覚が感じられた。

『ちいかわ』を、かわいらしいキャラクターたちが酷い目に遭うのを楽しむ露悪シニカルコンテンツと勘違いしている人も多そうだが(僕含め)、本作を通して、根底にあるのは不条理への抵抗とか生活のための静かな闘争みたいなものを描いていると捉えた。劇中のキャラクターが日々苦労しながらも普通に労働をして生活のための金銭を稼いでいる描写にも、資本主義社会に対する冷静なまなざしを垣間見る。





それにしても、ポストクレジットには救いがないよ……。劇場を後にするとき、みんな談笑しながら「おもしろかったー!」と言っていたけど、どう捉えたらそうなるんだよー……。

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