先日解禁されたアニメ「チェンソーマン」の主題歌・挿入歌の情報解禁、皆さんどう感じました?
僕はまず「これ絶対コケられないな…」と思いました。
あと「ソニーミュージック勢多くない?」と。全員の所属レーベルを調べてみた。
・OP:米津玄師(ソニー・ミュージックレーベルズ)&常田大希(ソニー・ミュージックレーベルズ)
・挿入歌:マキシマム ザ ホルモン(ワーナーミュージック・ジャパン)
・ED:ano(TOY’S FACTORY)、Eve(TOY’S FACTORY)、Aimer(ソニー・ミュージックレーベルズ)、Kanaria(Kanaria)、syudou(syudou商店)、女王蜂(ソニー・ミュージックアーティスツ)、ずっと真夜中でいいのに。(EMI Records)、TK from 凛として時雨(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)、TOOBOE(ソニー・ミュージックレーベルズ)、Vaundy(SDR)、PEOPLE1(ユニバーサルミュージック)
主役の声優2人もソニー所属らしい。僕のツイッターのTL上でもキャストやアーティストの豪華さを絶賛する声が多い中、チョイスに違和感を唱える人も少なからずいた。
鬼滅の刃が分水嶺?
このタイアップを行うにあたって、おそらく鬼滅の刃の影響を受けたことは間違いないだろう。コロナ禍初期で映画業界が冷え込んでいた中、上映劇場を増やしまくった劇場版「鬼滅の刃」無限列車編がアニメファンの垣根を越えてとんでもない興収記録を叩き出したという事実が、それ以降のアニメの制作やマーケティングに一切影響していないとは考えづらい。話題作のアニメ化とはいえ、週替わりで違うアーティスト(しかも爆売れスターダムに脚を踏み入れ始めたような人たち)にEDを担当させようというドラスティックな案が出て、そしてそのコストはペイできるとの判断がなされた。「アニメは一部のオタクが見るもの」と揶揄されていた一昔前と比べると考えられない転換だ。
でも、個人的には
やりすぎでは?
と思った。いわば『タイアップのフェス化』。こんなラーメン二郎みたいなラインナップ、刺激的で目を引くが胃もたれするよ。それまでアニメに興味のなかったマスにリーチさせるためには有効かもしれないが、全部乗せごちゃ盛り単勝マーケティングが名作を刹那的なバズに変えてしまう可能性もあるのでは?と感じてしまう。
個々のアーティストが非常に優れた実力派揃いであることには異論の余地はないが、まるでビュッフェのようなチョイスをしている”大人たち”の姿勢に革新性を感じない。言ってしまえば、”別にチェンソーマンじゃなくても売れていく人ら”でしょ。一見攻めてるように見えてめちゃくちゃ守りの姿勢では?と思う。ともすれば”バズのための共通言語”として扱われてると捉えられかねないし、前述したようにソニー勢の多さも何か引っかかる。放送開始直後からTHE FIRST TAKEのチャンネルがチェンソーマン一色になるのが目に見えてる。
ルックバックを読んだとき、藤本タツキは間違いなく時代に求められる作家だと思った。チェンソーマンだって例外ではないはずなのに、漫画史に名を刻むべき存在なのに、一過性の話題に終始し得るプロモーションをしちゃうのはどうなのよ、と。
「はい、売れますよ。これだけ見てれば2022年はとりあえず大丈夫ですよ」
と製作側から言われてる感と言わされてる感。とにかく外郭から埋めていくこうしたマーケティング手法、ここ4~5年くらいで顕著に感じるけど、そこまでしなくても作品の魅力が落ちるわけじゃないのに、「作品の求心力や消費者のことを信じていないんじゃないの?」と疑問を持つ人も絶対に出てくる。そういうのって結構見抜かれるよ。
作品自体のコアの部分より、「タイアップが豪華」という事実だけが一人歩きしてトレンド入りする現状、ちょっとしんどくないか?レストランで料理を目の前に出されて、
「下味の調味料はフランスの□□というブランドで、使用している食器はイタリアで製造された△△万円のもので~…」
と必要以上に説明されているような、そういうしんどさ。
かと言って「これはnot for meだわ…」と老害ライクな宣言もしたくないし、ツイッターで「〇〇が主題歌担当するなら見る」と洋楽HIPHOPアーティストを挙げてるのも正直ルサンチマンぽくて寒いし。
作品と消費者を信じるということ
ズルいことを言うと、「どうせ誰を起用しても文句は出てくるから、幅広くチャンスがあるといいよね」っていう話ではあるのだが…。
奇しくも本日公表された情報によると、新海誠監督の最新作「すずめの戸締まり」の主題歌には、オーディションを勝ち抜いた新人アーティストの十明を起用しているらしい。
いずれにしても、作品と消費者を、もう少し信じてみてほしいと感じた発表でした。
チェンソーマン読んだことない僕より。
コメント