「オールナイト虚無」が好きな人と文通がしたい

radio podcast
この記事は約4分で読めます。
スポンサーリンク
スポンサーリンク

コロナ禍に始めた趣味のうち、今となっては全く触れていないものも多いと思うんですよ。皆さんの押し入れにおかれましても、埃をかぶったアコギやガンプラや筋トレグッズや積読が眠っていることと存じます。僕もです。2020年に買った村田沙耶香の小説を未だに読めていません……。

そんな感じな僕ですが、ほぼ唯一続けていることがありまして。それが「音声コンテンツを聴くこと」です。

もともと家にいるときは常に音楽を流しているようなタイプだったのだけど、ラジオやポッドキャストは意外と聴いてこなかったんですよね。深夜ラジオとカルチャーは親和性が高いというか、深夜ラジオがカルチャーそのものみたいなところがあって、音楽や映画が好きな人と深夜ラジオ・ポッドキャストが好きな人はベン図で重なる部分が多いと思うんだけど、オールナイトニッポンのようなメジャーな番組すら聴いてこなかった人生。今までで一番聴いたラジオといえば、中学時代に勉強用に流し聴きしていた基礎英語くらいで、生活の中に”人が喋るコンテンツ”が入ってくることがなかった。

でもある日、テレワーク中にふとYouTubeやSpotifyでネットラジオを流してみたら、ものの見事にハマってしまい、4年経った今でも色々聴き漁ってしまっている。音楽だと一曲ごとにスキップしちゃったり、ついつい歌詞を確認したり、メロディーに集中してしまったりしていたが、1~2人の雑談をなんとなく流すのは、作業をする上で心地いいんですよね。

中でも、「オールナイト虚無」がとても好きで、2020年は毎日のように聴きまくっていた。これが好きな人と文通がしたいよ僕は。

オールナイト虚無とは

2013~2016年の間にUstream(今は亡きストリーミングプラットフォーム)にて隔週で放送されていたネットラジオ。パーソナリティはインターネットダークヒーローことダ・ヴィンチ・恐山氏と青森が生んだ奇跡のソクラテスことにぅま氏で、恐山氏のYouTubeチャンネルで現在も視聴できる。回を追って観ていくごとに、Ustream特有の音質の低さや、にぅま氏が頻繁に回線落ちするのすら微笑ましく感じてしまう。

番組の形式としては、視聴者による雑なイラストや、いらない写真などの投稿を集めてやいのやいの紹介するという至極シンプルなものだが、この投稿物たちがとにかく”虚無”としか形容できず、ほとんどが脳内の側溝を流れていくものばかりなのがおもしろい。

特に「自由律虚無俳句」というコーナーが好き。五七五の形式にとらわれない、各々の心情などを好き勝手に詠んだものを送るというコーナーだが……。

例:様々な思惑がやたら海老々々する

  さっきのが天竺だったんじゃない?

  みんなの足をぶっ壊して歩行界の王になるのねん

  シールになった友人を終電に貼って帰る

  死亡した力士から微量に検出されたドスコミン

俳句というのは名ばかりで、もはや一行で笑ったら寝ろww系ネタスレのようなもので、学生時代にまとめブログを漁っていた僕にはどこか懐かしいし、こういうノリは2013年くらいにはもう下火になっていた気がする。今はもっと殺伐としてるよね……。ちなみに投稿者には木下龍也氏とか現代歌人の第一人者のような方もいる。なんなんだよ。

また、放送とほぼ同タイミングでダ・ヴィンチ電子ナビにてテキスト版も連載されていた。こちらは本放送の投稿を抜粋して紹介するという形式なので、かなりコンパクトで読みやすい。あとにぅま氏のキャラが放送時と全然違ってて面白い。

無駄を楽しむ姿勢

くだらないことをわざわざ取り上げ、斜めの視点からあーだこーだ言う二人の姿勢が好きで、かっこいいとさえ思う。特効薬的に役に立つもの以外を無駄と切り捨てられる不幸な時代を僕らは生きているけれど、こうした無駄なものに無理やりにでも美しさを見出そうとする態度は、厚みのある人にしかできないと思っている。そしてそれはビジネス的な教養でもなければ、いきすぎたルサンチマンでもなく、想像力だとかこれまで培ってきた新たな視点とか絶妙なバランス感覚だ。目の前に出されたお茶をすぐには飲まず、まず器の模様から着眼する捻くれさと、飲んだら飲んだで新たな視点で感想をズバッと言うみたいな。

これを一緒になって楽しんでくれるような人なんてなかなか出会えないとは思うのだけど、いれば文通がしたくなるんですよ。LINEでもインスタのDMでもない、相手が読んだかすらわからないとびきり時間のかかるやつ。それこそ青森と東京に離れて住んでいた彼らが、くだらないことでそれぞれゲラゲラ笑い合うように。

というわけでオールナイト虚無のレコメンドでございました。無駄を楽しみたい奇特な方はぜひ聴いてみてください。I sing for me~♪

コメント

タイトルとURLをコピーしました